その478 椅子こわい 2018.6.7

2018/06/07

ぎっくり腰はいつ来るかわからない。私の場合、特に朝の椅子が危ない。
なるべく不自然な姿勢にならないように、
目覚めると腰椎のそれぞれが上から真っ直ぐに重なることを意識して、背筋を伸ばしていようと思っている。
以前は朝刊を床に広げて読んだりしていたが、
最近は新聞を少し高さのあるテーブルに置いて、立って読んでいる。
腰のあたりが目覚めてきたなあと思う頃にようやく椅子に座って、この原稿を書いているところだ。

 

椅子にもいろいろある。
私の机の椅子は、以前は背もたれのある木製のピアノ椅子だったが、長年使うと歪み、きしみが出てくる。
10代から使ってきたのだから仕方あるまい。今はオフィスで使うような椅子に変えた。
そういえば、回転するピアノの丸椅子を最近見かけない。
ぐるぐる回して遊んだものだった。高くしすぎると丸い上部が外れてしまって、
あわてて軸を持ったら黒い油がべっとりと手に付いた。

 

浜離宮朝日ホールで行われたアンティ・シーララというピアニストのリサイタルをテレビで見た。
曲目はシューマンのダヴィッド同盟舞曲集とベートーヴェンのソナタ第31番。
どちらもオーソドックス、明快な演奏ですばらしかった。
ところで、彼の座った椅子が少し変わっていた。
コンサートで使われるピアノの椅子は、たいがい四本足に黒い羊羹が乗ったような、おなじみの物だが、
シーララが座ったのは横から見るとアルファベットのTの字のような椅子。
座る部分は分厚い羊羹ではなくて、平たいビスケットのよう。
縦の柱にレバーがあって高さが調節できるらしい。
ピアニストの腰の下の空間が客席側から見えるので、演奏と同じく見通しが良いとも言えるが、
慣れないと何となく落ち着かない感じもする。
あの椅子は彼の生まれたフィンランド製なのだろうか。

 

先ごろ登った県境のある山頂でのこと。晴れてはいたが、瀬戸内側から少し肌寒い風が吹いていた。
一人の男性が、山上で淹れたコーヒーを楽しんでいた。
男性はモンベル製の三脚のようなチェアに深々と座って周囲の山々を見渡し、ぜいたくな時間を過ごす。
そのチェア、軽そうでいいね。でも私には少し腰の曲がりがきついかな。
こんな所でぎっくり腰になっては大変だから。